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2013年


10月21日


私は自殺しようとしていた。
Y山に一人向い、死ぬのに良さそうな樹木を探し、
近所のホームセンターで買った固いロープをひっかけて、
首を吊ったのだが、失敗に終わった。
いや、成功はしたが、その後、有り得ないことがこの身に起きた。

目覚めた時、私は見知らぬ場所にいた。
狭い空間。
細いスリットのような穴から差し込む微弱な光以外、何もない。
真っ暗だ。
しかし、周囲に手を伸ばして、すぐここが押し入れの中だと分かった。
なぜだろう。
山奥で首を吊り、死んだはずの私が、なぜこのような場所に?
誰かに助けられたのだろうか。
意識がある間、ゆらゆら揺らぐ視界の中に人がいた覚えはない。
もっとも、途方もない息苦しさが意識の大半を奪っていたが。
つまり私は、無事命を絶ったはずなのだ。
飽くまでそのはずだったのだが……。

なぜ生きている?
この答えを知ることはできなかった。
だが、ある男によってY山からこの場所に運ばれてきたことが判明した。
男は若かった。
外見からして大学生か成りたての社会人か、という年頃だった。

男は「何か見えたか」と訊いた。
なんのことかまるで分からなかったが、答えるまで男はその質問を
繰り返した。
見えたもの。
死ぬ前に見えたものと言えば、山の木々と下草……要するにこの下らない世の中の一風景だけだった。
しかし、問い詰められる度に、脳の裏側がぎりぎりと痛むような感覚を
覚え、確かに何か見たかもしれない、そう思い始めた。

それから、何が見えたかを考えるように言われた。
押し入れの暗闇の中で、じっと考えた。

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;だんだん「生きたい」と思うようになる。
;何かしてみたいと思う。
;ここから出たい。
;そして、今までにない経験や体験をしてみたい。
;そこに生き甲斐があるとは限らないが、
;
;ここで、「きっとある」ものについての説明を入れる。
;
;葉一が自殺を図ったとき、ほのかの幻想を見ることができた。
;極限の精神状態、つまり死と対峙する瞬間、人は幻想を見るのだと悟る。
;そういうアプローチを、あずさの視点で語る。
;-------------------------------------------------
静かに翳る ed画像
薬と風呂場。
ぽっかり空いた浴槽に衣服を身につけたまま入る。
なんだか、心地がよかった。
ここにしよう。
大型カメラを運んで浴室内に置いてから、大量の薬を飲み下した。
すぐに、頭がぐらぐらと揺れ始めた。
浴槽の中で身体を小さくした。

白亜の空間。
私の棺桶。
独りで屈葬。
水死体。


浸透する温かいお湯を感じながら、考える。
あの男のことだ。

――死に場所を選べ。

答えぬ私と同じように、その時、男もしばし沈黙をみせた。
何が目的なのだろう。
どうも、嗜虐的な心があるようには見えなかった。
男は、殺人を渇望しているのではない。
むしろその先の「死」を静かに期待している――そんな気がした。

死の淵に立ったとき、人は何を見る。

男は、その答えをすでに知っていたのかもしれない。
なんらかの被害が彼に及んだのか、あるいは私のように自ら生を投げ捨てようとしたのか。
それは知り得ぬことだが、要するに、男は己の命が絶たれようという瞬間を過去に経験しているようだった。

では、そのとき、男は何を見たのか。

私はぼんやりとする思考の末、ある推測を立てることができた。

男は死の淵に立ったときに、「何か」を見た。
それから、その「何か」に魅了され、深く心を動かされた。
知りたいという強い欲求を抱き、やがてその欲は他者へ向けられた。
つまり、死を間近にしたとき、他の人間もまた自分と同じものを見るのだろうか?
そんな興味が彼を突き動かし、いつしか人の死を求めるようになった。

……そう考えれば、私がここへ連れてこられたことにも納得がいく。
だが、憶測に過ぎない。

「ビデオカメラなんかで」

私は、腕を伸ばしスイッチを入れた。

「何も、撮れないよ」

少し笑ってから、ゆっくり瞳を閉ざす。
私は、これから見る何かを想像し、はっとした。

望み。


そうだ。
きっと、人は死の淵に立ったとき、叶えたかった望みを胸に抱く。
せめて、願うだけでも……。
叶わずとも、その想いが最後の幸せとなって人の心を満たすのだ。


男は、その幸せを掴んで尚、生きながらえたのかもしれない。

「そのまま、死んじゃえば、良かったのにね」

他人の最後を覗き込もうなんて、おこがましい。
そこに男の求めるものはない。

――もう、この世にあなたの幸せは残ってないよ。

それは私も同じだった。
それでも、何かが見えるのだろうか。

あの時が――私がY山で自殺したときが――終わりではなかったのだ。
本当の終わりは、これから……。


有原あずさ。
17歳。
ここに眠る。


静かに翳る エッグ

あずさ編の初期テキストだよ~☆

静かに翳る 幻の麻野

後半部は、あずさが風呂場で自害するシーンのようですね。

静かに翳る MADOROMI

うん。この頃は、あずさを実験のために生かし拉致した葉一の目的がまだはっきりとしていなかったんだ。ただただ、風呂で腐乱死(略)

静かに翳る エッグ

うええ、ぐろすぎだよ。

静かに翳る 動物人間

それにしてもよ、押入れにあずさを閉じ込めるってお前の趣味か?

静かに翳る MADOROMI

違うわ! アパートの2階だから、もちろん監禁するための地下室なんてものはないし、押入れくらいしか思いつかなかったんだよ!汗

静かに翳る chat 静かに翳る chat

静かに翳る エッグ

そして、こちらは当時撮影したMADOROMI自前の写真だね。

静かに翳る MADOROMI

シナリオの次に始めたのは背景画像集めだった。なかなか思うような素材が見つからなかったなぁ。

静かに翳る 動物人間

お前の背景画像は加工が汚らしい

静かに翳る MADOROMI

ああ……うん。完成前に全部の背景画像にぼかしを入れてより可読性を高めようとしたんだけど、ずっとそれらの画像でテストプレイしてきたから、すっかり見慣れてしまってね……加工後、かなり違和感があったんだよね。。。汗

静かに翳る 幻の麻野

その辺りをもっとうまく処理できたら、もっと文章の力を引き出せたかもしれませんね。

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