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2013年


11月29日


ラストシーン


ーー桐谷、こっちへ帰って来なよ。

ーーつらいでしょ?

ーー私は、つらい。

ーー何もできなくて、ごめん。

ドーン、ドーン、ドーン、ドーン!!!
フラッシュバック動画
ゆっくり、遡っていく。

↑ピアノ屋敷
↑河原
↑森前
↑ほのかの部屋
↑茂上リビング
↑茂上玄関
↑葬儀の日
↑教室の花瓶

世界の終わり、BGM:終焉
一歩ずつ、歩いていく、画像の変化?河原
身投げ

プルルルルルルル
動画「葉一くん、ピアノ屋敷に来てほしいの……」

天国?ここは?
通常に戻る:進む

とん、
肩の上に誰かの手が乗せられた。
振り返ると、そこには、高校生くらいの女の子がいた。



「葉一くん。

「ほのか、ちゃんは、ここに?」
ううんと首を振った。
「ここにはいない。あなたの知らない、彼女の秘密の場所にいる」
「僕の知らない……秘密の場所」

;

「その前に、本当のことを話しておくよ」

「ほのかは、水中から音楽が聞こえた……そう君に言ったよね」
「あ、うん」
「あれは、嘘だったんだ」

彼女は淡々としかし、陰りのある声で説明した。

水中から音楽なんて、聞こえない。

「彼女は、父の死を受け入れることができなかった」

「だから、父がまだこの世に存在していることを強く願っていた」

「じゃあ、どうして……川の中へ?」

「自分を救ってくれた父が、再び手を差し伸べてくれると信じていたんだよ」

「音楽は実際に聞こえていたんじゃなくて、彼女の頭の中で鳴り響いていた」
「つまり、何度も思い返していたんだ。記憶の中にあるメロディーを」


記憶の中に様々な場面を繰り返すことで、もう叶わない父との時間を過ごしていた。
その度に、あるメロディーが脳裏の薄闇から響いていた。
「ほのかのために父、義之が作った一曲なんだ」
君は、一度、ピアノ屋敷で聴いたことがあるよね?
葉一は、3拍子の優しい旋律を思い出す。




「本当に、辛かった……」
「父が死んでしまったことを、ずっと受け入れることができなかった」
「君が孤独だったように、彼女もまた、独り寂しさを抱え込んでいたんだ」
「待ってるから。行ってあげて」

秘密の場所に、しゃがんでいる小学2年生のほのか。
泣いている。

「あたし、お父さんに会いたかった」
「寂しかった」
「でも、葉一くんがいてくれたから、寂しくても楽しい気持ちになることができた」

「ぼくもだよ、ほのかちゃんが、いてくれたから、あの日からぼくは幸せだった」

泣いて静かになる。空が燃えている。

これで、最後だという、本当の最後の時間。

「ほのかちゃん、あの日、ピアノ屋敷に行けなくて、ごめんね」
「ううん。あたしこそ、不機嫌にになって、ごめんね」

「……プレゼント渡そうと思ってたの」
「でも、思いつかなったんだ」
「葉一くんが、好きな曲を弾いてあげようって思ったの」

「もう一度聴きたいな、あの曲」
「え……?」

葉一は、鼻歌を歌ってみたが、上手く曲を再現することができなかった。
葉一は、すうっと涙を流した。

「僕、幻想の中でも、ヘタクソだよ」

「ううん、嬉しい」

ほのかは、その選択に込められた、葉一の優しさに胸を打たれた。



「あのね、あたしも、最後に溺れたとき、お父さんに会うことができたの」

ほのかは、葉一の頬をつねって、笑ってみせる。

「痛いでしょ?」
「うん……!」
「今、確かにあたしは葉一くんの目の前にいる」
「これが、夢なら、また会えるかもしれない」
「でも、幻想は一度きりなの」
「幻想は、一度だけ見ることができる特別な夢……限りなく現実に近い夢」
「誰もが見ることができるとは限りらないの」
「強い願いが極点に達したとき、それは現れる」

「これでおしまい。幻想は遥か彼方、深奥へ深まって……」



全てが消えてゆこうとしていた。
ほのかは、葉一の手をにぎり、ピアノ屋敷へ歩く。



「これで、本当に終わり」

切なく美しき、光、涙。

「葉一くん、お誕生日、おめでとう」
「葉一くんに出会えてーーあたし、幸せだったよ」

スタッフフロール

ざば 水中から出る音

まとめ

end





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
義之を失くした静香は、生活を支えるために、スーパーでパートを始めた。
そのため、ほのかを一人留守番させていることが多くなった。


ラストシーン2


ーー桐谷、こっちへ帰って来なよ。

ーーつらいでしょ?

ーー私は、つらい。

ーー何もできなくて、ごめん。

ドーン、ドーン、ドーン、ドーン!!!
フラッシュバック動画
ゆっくり、遡っていく。

↑ピアノ屋敷
↑河原
↑森前
↑ほのかの部屋
↑茂上リビング
↑茂上玄関
↑葬儀の日
↑教室の花瓶

世界の終わり、BGM:終焉
一歩ずつ、歩いていく、画像の変化 河原
身投げ

プルルルルルルル
動画「葉一くん、ピアノ屋敷に来てほしいの……」

天国?ここは?
通常に戻る:進む

とん、
肩の上に誰かの手が乗せられた。
振り返ると、そこには、高校生くらいの女の子がいた。

「葉一くん」

「誰……? それに、ここは……?」

「いずれ分かるよ」

「ほのかちゃんは、ここに?」

ううんと首を振った。

「ここにはいない。あなたの知らない、秘密の場所にいる」
「俺の知らない……秘密の場所」



「その前に、本当のことを話しておくよ」

「ほのかは、水中から音楽が聞こえた……そう君に言ったよね」
「あ、うん」
「あれは、嘘だったんだ」

彼女は淡々としかし、陰りのある声で説明した。

水中から音楽なんて、聞こえない。

「彼女は、父の死を受け入れることができなかった」

「だから、父がまだこの世に存在していることを強く願っていた」

「じゃあ、どうして……川の中へ?」

「自分を救ってくれた父が、再び手を差し伸べてくれると信じていたんだよ」

「音楽は実際に聞こえていたんじゃなくて、彼女の頭の中で鳴り響いていた」
「つまり、何度も思い返していたんだ。記憶の中にあるメロディーを」


記憶の中に様々な場面を繰り返すことで、もう叶わない父との時間を過ごしていた。
その度に、あるメロディーが脳裏の薄闇から響いていた。
「ほのかのために父、義之が作った一曲なんだ」
君は、一度、ピアノ屋敷で聴いたことがあるよね?
葉一は、3拍子の優しい旋律を思い出す。




「本当に、辛かった……」
「父が死んでしまったことを、ずっと受け入れることができなかった」
「君が孤独だったように、彼女もまた、独り寂しさを抱え込んでいたんだ」


「――ほのかちゃん?」

「そう。高校3年生のね」

「一体、これは、どういうこと……?」

「もう、気づいてるんじゃないの」

気づいてなんかない。
これが現実でないことは分かる。
そして、これが夢でもないことも。

「俺は……もしかして……」

「そう。これは幻想」

「死に際に見る、夢ってところね」

「俺は……死んだのか」

「ううん。まだ、生きてるよ」

「それより、すべきことがあるんじゃない?」

「すべきこと……」

「あなたが死ねば、この幻想も終わる」

「ここに、あの頃の、ほのかちゃんがいるのか……?」

女子はゆっくり頷いた。

「待ってるから。行ってあげて」





秘密の場所に、しゃがんでいる小学2年生のほのか




ほのかは振り向き、驚いたように目を見開いたが、ふっと安堵したように表情を和らげた。しかし、その様はどこか寂しげだった。
こうして独り、亡き父に思いを馳せていたのかと思うと、胸が締め付けられるようだった。

「ほのかちゃん……」

「あの日、ピアノ屋敷に行けなくて、ごめんね」

「ううん。あたしこそ、不機嫌になって、ごめんね」

「……プレゼント渡そうと思ってたの」
「でも、思いつかなったんだ」
「葉一くんが好きな曲を弾いてあげようって思ったの」

そよそよと風が吹き抜ける。
ほのかの髪がさらさらとなびいた。

「あの……あのね……葉一くんがいてくれたから、寂しくても楽しい気持ちになれたんだよ?」

「ぼくも……だよ、ほのかちゃんが、いてくれたから、あの日からぼくは幸せだった」

<背景描写>

「じゃあ、もう一度だけ、あの曲」

葉一は、鼻歌を歌ってみたが、上手く曲を再現することができなかった。

「ごめんね、うまく歌えないや……」

「ううん、嬉しい……」

空が燃えている。

「……ほ、ほのかちゃん、泣かないでよ……!」

葉一は、衝動的に声を上げた。

「よ……葉一くんこそ……!」

声を震わせ、ほのかは両目をこすった。

「――でも、夢じゃないんだよ?」

ほのかは、葉一の頬をつねって、笑ってみせる。

「痛いでしょ?」
「痛い……!」
「今、確かにあたしは葉一くんの目の前にいる」

白い手で涙を拭いながら、ほのかは花のように可憐に笑った。

「幻想は、一度だけ見ることができる特別な夢……限りなく現実に近い夢……そう思ってね」

「うん」

「でも、誰でも見ることができるものじゃないの」

「うん……」

「強い願いが極点に達したときだけ現れる」

「…………」

「そして、幻想は遥か彼方、深奥へ深まって――」

葉一は、さっとほのかの手を握った。

「よ……葉一くん?」

「走ろう」

引っ張られるように走るほのかは、少し驚いたが、しばらくして小さく笑い声を漏らした。

二人はめいいっぱい笑った。

「最後だもんね」

全てが星のように瞬きながら消えてゆこうとしていた。
まばゆい光に包まれる森の中を二人は走った。
それは夢のように美しい瞬間だった。

「走ったね」

「うん。走った」

「いっぱい、笑ったね」

「……うん」

「ぼくたち、もう――」

「お願い、もう何も言わないで……」

「うん……」

「ちゃんと、プレゼント、あげられないもん」





「葉一くん、お誕生日、おめでとう」
「葉一くんに出会えてーーあたし、幸せだったよ」

スタッフフロール

ざば 水中から出る音

まとめ

end





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
義之を失くした静香は、生活を支えるために、スーパーでパートを始めた。
そのため、ほのかを一人留守番させていることが多くなった。

静かに翳る MADOROMI

没になったラストシーン。ラストは本当に苦労したなぁ……。 これは、高校生になったほのかが、(別人のような立ち場で)幼少時代の自分の心情を語り、葉一をその居場所へ導く、というシーン。

静かに翳る 動物人間

まあ、よくみる表現方法だな。

静かに翳る MADOROMI

テキストだけで見れば、あまりおかしくないのだけれど、画像や音楽と組み合わせた「演出込み」で考えると、表現がかなり難しかった。大人になったほのか、という最大のポイントを急に立ち絵なんかで表現するわけにはいかなかったし、かといってテキストだけでそのインパクトを伝える技量もなかった。

静かに翳る 幻の麻野

残念でしたね。

静かに翳る MADOROMI

やっぱり、なんだかんで、キャラグラフィックの力はすごいと感じたよ。演出って、難しい、難しい……_| ̄|○ ウゥ…

静かに翳る 動物人間

ふん、ノベルだけでやりゃいいものを……。

静かに翳る エッグ

もう、すぐそうやっていじわるなことばっかいう!

静かに翳る 幻の麻野

しかし、正論かもしれませんね。

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