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2013年


7月28日


大学のキャンパスを通る。

何かの死骸があった。

鳥だろうか。

それ以上を形状から推し量ることはできない。

ただ死んでから何日かが経過していることは明白だった。

ところどころ、黒い塊が浮かんでいる。

生きているものには絶対にないようなもの。

それは微小な昆虫だった。

よく見れば、そこら中の羽毛の陰にびっしりとこびりついていた。

それを不快に思い、さっと視線を転じた。
駅へ向かった。


母校を訪れる。
高校時代、担任だった**という教師と目があった。

「おぉ、桐谷じゃないか、久しぶりだな!」

教師は歩きながら、当時の思い出を独り語ったていた。

「そういや、ここは――」

茂上ほのか。
当時、ここで彼女の姿をよく目にした。
実家の近隣に住む彼女は小中高と同じ学校に通っていたが、

同じクラスになったのは高校2年の時、それだけだった。

しかし、まだ幼い頃はよく近所で遊んでいた記憶がある。

二人で町の外へ探検に出たこともあった。


ーーねえ、覚えてるかな。


空が燃えている。  


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;現実と幻想が渾然とする。
;ほのかと葉一の幻想が始まった。
;最後のロマンスを探そう。
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・幻想概論


幻想は覚醒時に垣間みる


現実だけが真実ではない



白いチョークが黒板の上でコツコツと音を立て、文字を綴った。


「葉一君、いつも窓の外、見てたよね」
「ああ、うん」
「――何を見ていたの?」
葉一は、一言答えた。

「プール?」

ほのかは、そのまま同じ言葉を繰り返す。
しかし、その場所から校舎の裏にある25メートルのプールを見ることはできない。

ただ、想像をしていたのだ。
膨大な水を湛える矩形の海。


細かな水泡の群れは、希求するようにまだ見ぬ光の元へ昇っていく。

その小さな銀の魚群のような影が、ほのかの両足をくすぐるように揺らめきながら、全身を通り、頭の上を過ぎていった。
その全てが命であり夢だった。

一つ一つの泡は、虹色のビー玉の輝きを流星のように走らせて、

散り散りになったと思うと、しゅるしゅると柔らかな新しい泡ーーそれは混じりけのない純粋な
命を内包する、透明の卵のような泡ーーをほどきながら、小さく消えていく。

「何も知らないまま。意識さえ芽生えぬままにね」

「うん」
だが、そこに悲しみなどない。

生まれては消えゆく。
この静かな流動こそが、全ての存在を裏付ける**の息遣いなのだから。



何億年もの間、それは幾度となく繰り返された。

深海の底、原初的な光なき暗闇の下、そのずっと奥に広がる深淵から、
全ては始まった。


この流動がなければ、全ての存在は否定され、「存在」という
枠組みからこぼれ落ちるだろう。

ほのかはイルカのように水をはじいた。

それに続いて葉一も徐に浮上を試みた。

水面から差し込む青白く眩い光の下で、
ほのかの両手はハープのように優しい音色を奏でていた。

ぷくぷくと泡沫が浮かび上がり、時折葉一の泡をくすぐった。



目路遠くに見える、黒いシルエット。
西の空から放たれる光が、その輪郭をなぞっている。


――いつか行けるかもしれない。


高鳴るような思いの遥か遠くにその情景はある。

懐かしい程の光と影のコントラスト。

しかしこの瞳に映したことさえ、いつか幻となる日が来る。

二人はじっと見つめていた。

この瞬間を描くように、じっと見つめていた。





教室を抜けて、校舎を離れる。

孤独な鳥が電線に飛び乗り、夕闇の終わりを待ち望んでいる。

日没が無音の響きを一面に打ち放つ。

黒いカーテンに包まれる光の余韻と僅かな温もり。

朝と夜が溶け合うその狭間へ、黒い影がバサバサと飛んでいく。


ーー急げ急げ。


ーー本当の目覚めが始まった。


孤独な鳥は、孤独でなくなった。

星々が砂糖のようなの細かな光の尾を引きながら夜の帳を下ろし始めた。

ほのかの瞳にその粒子が映り込み、燦然と煌めいた。

大気が静かに流動している。

路肩で眠る夏草がそよそよとなびく。

風吹き渡る異国の草原を夢を見ながら。


ほのかは歩く。

葉一も歩く。
黒い川のほとり、囁くような梢の影を背にして。
「葉一君」

「何?」

「きっと、あるよね」

「うん」

川はちろちろとせせらぎ、夜の旅を続けた。

夏虫はあの月へ終わらない歌を届け、土と水と風の匂いを伝える。

想いは噴水のように溢れ、二人を最後のロマンスへ誘った。

「うん」
もう一度だけ葉一は答え頷いた。
ほのかは空を仰ぐ。

夜は続く。

二人が幻想を求める限り。


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<●>
「先生、大丈夫ですか」
「ああ、すまん、ぼうっとしていたようだ」

「疲れてるんじゃないんですか?」

「いや、大丈夫だ。えっと、なんの話だっけ」

「だから、桐谷のことですよ」

「ああ、そうだった」

「桐谷と茂上って、どことなく似てましたよね」

「そうだったか?」

「ええ。なんというか、雰囲気が。
葉一といるとたまにコイツ生きているのか? 
って思うことがあるんですよね。そこにいるはずなのに、
いない、という感じ」

「ああ……確かにな。茂上にもそういうところがあった、かな」


ーーあいつらは、いつもどこを眺めていたんだろうな。




静かに翳る MADOROMI

没シナリオ。高校生の姿のほのかが葉一の前に現れ、二人だけの時間が始まるってシーン。

静かに翳る エッグ

う~ん、ロマンス感じるね☆

静かに翳る MADOROMI

イメージとしては、パイレーツオブカリビアン(最終章)ですwターナーくんとスワンちゃんが 10年に1度だけ家族の時間を過ごすことができるという、あれですよw

静かに翳る MADOROMI

限られた時間とか最後かもしれないだろ?的な時間ってグッと胸にくるぅですよwもう後がないって状況が「覚悟」につながるぅwwwwその覚悟が「全力」に変わり「感情(想い)」を最大まで引き出させるぅですよwww

静かに翳る 動物人間

なんか、きめぇな(笑)
しかし、面白くねぇ。なんつーか、アリキタリじゃね??

静かに翳る MADOROMI

うん、まぁ、好きなんだけどね、確かにこういう状況にもっていくのはアリキタリだからやめた。

静かに翳る MADOROMI

でも、幻想でロマンチックで美しく、切ない。そんなシーンを……描きたかったんだいっ!泣

静かに翳る 幻の麻野

またの機会にお願いします。

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