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2013年


7月30日


1 茂上ほのか


1998年8月


ほのかの父親は、Y山で死んだ。

おばあちゃんは、死んだってだけ言ったけど、

本当のことを教えてくなかった。

でも私は知っている。

当時ほのかは一人、町を探しまわった。

父の声が気がしてY山に入る。

どこにいるのだろうと必死。

途方に暮れた私は河原でしょぼくれていた。

いなくなった父のことを考えていた。

寂しかった。
泣き出したいのをこらえていた。

河原の石ころを蹴っていた


ほのかは川で溺れた。

遊びにきていた葉一に助けられる寸前で
意識を失う。


「川の中で父がいるような気がしたの」


助けたのはほのかの父、義之だった。

義之は川に落ちたのほかを助けたあと、自殺した。

病気だった。


人嫌いだった父は、この場所で一人ピアノを弾いていた。

このY山は父の友人の所有地で、数年前話の上で譲られていたから、
実質、義之のものだった。


私は川の中で音楽をきいた。

あれは父が演奏していたピアノの音色だったのかもしれない。

でも、知る由はなかった。


「あたし、馬鹿だよね?
もう一度、もう一度だけ、
あの曲がききたくてね、川にもぐったの。

聞こえてくるわけないのに」


「僕、馬鹿だと思わないよ。
きっと、聞こえてくると思うよ」


「ありがとう、葉一君、優しいんだね」

「誰にも言わないでね。
でも、マニアくんになら、教えても
いいよ」

「どうして?」

「いつも、一人でいるでしょ?。
仲間はずれにされてて
……かわいそうだもん」

「うん、そうだね。
今度つれてくるよ。あいつ、
嫌がらなきゃいいけどさ」


ーーーーーーーーーーーーーーー

フェードアウト

ーーーーーーーーーーーーーーー


葉一は、もう一度、ほのかの歌が、ほのかの声が
ききたくて、水中にもぐり続けた。




ーーあたし、馬鹿だよね?

ーーもう一度、もう一度だけ、あの曲がききたくてね、川にもぐったの。

ーー聞こえてくるわけないのに



ーー僕、馬鹿だと思わないよ。

ーーきっと、聞こえてくると思うよ




無理にでも聞こえるんだと信じ込んだ。

マニアに言いふらして、本当なのだと自分に思い込ませた。





数年後。


葉一は狂った。


あのメロディーを完璧に再現することに心血を注いだ。
放課後は音楽室に通いつめ、書店に行けば、作曲に関する
本を読み漁った。
しかし、たどりつかない。
記憶の中で流れる優しい戦慄に手を伸ばすと、それは
「おい、葉一……」


Y山で自殺を決意する。

死の淵にたったとき、葉一は幻想の中で、ほのかに会うことが
できた。
(ーーあずさが死んだのは、そんな願いからか?)


死の淵で幻想をかいま見る。

水中から幻想をかいま見る。

ほのかに会いたかった。


求めれば、求める度、旋律は歪み、不協和音を奏でる。

葉一の中の秩序は徐々に湾曲し、いびつな形状を成した。


「そういえば、ここーー」

「葉一君、いつもありがとうね」

「いえ」

ほのかの10回忌。

静香はこの青年の面持ちを見る毎に、
その青白い肌ににじんで浮かぶような痛烈な想いを感じていた。

彼は、その想いを駆られて、己を失っていた。

その瞳は、何を映しているのか窺い知れない色をしていた。

今という現実にいながら、どこか違う場所に心を置き去りにしてしまっている
ようだった。

私に責任がある。

この子を開放しなければいけない。

まだ葉一君は若い、これから先の未来がある。

亡き娘が彼をこれ以上深みに引き込まないよう、


「葉一君、もう、疲れたでしょう」

「いえ」

「もう……楽になってもいいんですよ」
「……」

葉一は無言のまま、茂上家を去った。

「静香、葉一君かえ?」

「ええ。今さっき帰ったわ……」

「あら、まあこんなにも」


三和土の上に置かれたビニール袋には、溢れんばかりの

ミニトマトのパックが詰め込まれていた。

この日が来る度に、静香は悲痛な思いを抱く。

生前の娘と過ごした時間を思い返して、泣き咽び、終日
悲しみ
に暮れることもなくなった。

ただ……彼は、あの日からずっと忘れないでいる。

渡される、ほのかの好物だったミニトマトは、
毎年その数を
増していた。

そんな彼がこの日、我が家に訪れ、言葉数の少ないまま

供物を置いて帰るーーそのことが何より静香の胸を強く
締め付け
ていた。

静かに翳る MADOROMI

これは、深奥編幼少期の初期テキストだな! そうか! 冒頭の茂上家に供物のミニトマトをもってきた葉一がいるシーンは、最初、後半で描かれていたのか!

静かに翳る 動物人間

忘れてんじゃねーよ。

静かに翳る 幻の麻野

葉一とほのかの幼少期を描くにあたって、気をつけたことなどありますか?

静かに翳る MADOROMI

二人の楽しい思い出をたくさん盛り込みたかったんだけど……平穏な日常シーンって、読んでいて退屈じゃん?

静かに翳る エッグ

ぼくはすき。

静かに翳る 動物人間

黙れ。

静かに翳る エッグ

しくしく……。

静かに翳る MADOROMI

……えー、だから、なるべく意味のあるシーンだけに描くように心がけたんだ。面白い日常シーンは難しいなって製作中につくづく感じていたよ。

静かに翳る 幻の麻野

どうぞ(´∀`)つ○  (;ω;`)?

静かに翳る エッグ

(´∀`)つ○  (;ω;`)なにそれ

静かに翳る 幻の麻野

飴(´∀`)つ○  (・ω;*)!

静かに翳る エッグ

(´∀`)つ○  (・ω・*)ほしい!

静かに翳る 幻の麻野

黙れ(´∀`)つ  三三三三Σ○ω*`゚)゚。ゴチーン

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