2014年
3月16日
川原のごつごつとした石の上に座って、しばらく流れる水の音を聞いた。
せせらぎは、心の中を洗い流すかのようだった。
澄みきった心はとても穏やかで、そんなとき、葉一はこの静かな風景と一体になったような気がしていた。
「葉一くん、よく笑うようになったね」
「え、そうかな?」
「うん」
自分で意識したことはなかったが、それはきっと、いつもほのかと一緒にいるからだと葉一は思った。
そんな自身の変化に気付いてくれたことが、葉一は嬉しかった。
「ねぇ、葉一くん。10年経ったらさ、あたしたち、何しているかな?」
「10年かぁ」
葉一には、10年という時間が途方もなく長いもののように思え、さっぱり見当がつかなかった。
「全然分からないや……」
「18歳でしょ、うーん、まだ博士にはなってないかなー」
「えっ、ほのかちゃん博士になるの?」
「うん。あたし、ミニトマトの博士になる」
「フルーツみたいに甘くて美味しいミニトマトを作るの」と言って、ほのかは大人びた咳払いをしてみせた。
二人はけらけらと笑ってから、川縁にそよぐ風の音に耳を澄ませた。
しんと心が静まっていく感じがした。
その心地よさに身を委ねながら、葉一はほのかと川の流れをぼうっと眺めていた。
すると、そうしている自分を俯瞰してみているような妙な感覚がした。
立ち入りが禁止されている森の中の、人気のない河原で、同級生の女の子と一緒に景色を眺めている……。
それがどこか夢の中の出来事のように思われた。
今、自分たちがいかに特別なことをしているのかをふと思い知り、葉一の心は、その特別さによってどこまでも満たされていくのだった。
「――あたし、この山が好き」
「うん。ぼくも」


ミニトマトの博士って、実際にいるの?

さぁ……。

ミニトマトを研究している方はいらっしゃると思いますが、どうなんでしょう。

うーん……。

なんで調べねーんだよ!?

そもそもY山みたいな環境で育つミニトマトってあんのか? って思いながらシナリオ書いてたから!!!

キレんなよ。
幼少期、指切りの後のシーン修正前テキストです。